住宅ローン繰上げ返済か投資か、あなたはどっち?
今回のテーマは、「住宅ローン繰り上げと資金運用」です。
繰り上げ返済をするか、リスク資産に投資をするか?
よく議論される事ですよね。
色々な視点で考える必要があります。
二つの繰り上げ返済
一口に繰り上げ返済といっても、二つの返済の方法があるので注意が必要です。
期間短縮型は、返済額を変えずに繰り上げ返済した分、返済年数を減らす方法です。
一方、返済額圧縮型は、返済期間を変えずに、返済額を減額する方法です。
繰り上げ返済による効果は、多くの場合、圧倒的に「期間短縮型」の方が高いです。
例えば、現在の住宅ローン残高が4,000万円あるとします。
金利が1%、毎月の返済を元金13万円とすると、金利は3.3万円(概算)です。
この時、26万円を繰上げ返済したとすると、概算で6.6万円の金利が節約できる計算になります。
26万円の投資で、1か月6.6万円の利益が出たのと同じですから月利25.38%という計算になります。
金利が1%だから繰上げ返済なんてもったいない。と思っていましたか?
全く違うのです。
繰上げ返済は、金融機関でシュミレーションしてくれるので、相談してみると良いでしょう。
金利の視点
一言でいえば、住宅ローンの金利と運用利回りのどちらが高いのか?
という事に尽きます。
例えば住宅ローンの金利が1パーセントだとしましょう。
投資の運用実績が1パーセントを越えれば投資の方が、未満なら繰り上げ返済が得になります。
先の例で言えば、4,000万円の1%は40万円です。
逆に言えば、4,000万円のキャッシュがあった場合、年間40万円以上の運用実績を上げることができれば、返済しない方がよいことになります。
手元の資金が100万円であってもこの理屈は同じです。
ここで感のよい方はお気づきになったかもしれません。
繰上げ返済をした場合の利回りとあまりにも違うことに。
そのからくりは、期間短縮型の繰上げ返済は、少額の繰上げ元金を返済することにより、借金全体に対する金利が低減できたことに起因します。
レバレッジが効くのです。
金利と運用を軸に考える場合、繰り上げなら元本を割ることはありませんが、投資の場合は元本割れするリスクが残ります。
税制面
住宅ローン減税が適用される場合、
年末残高の1パーセント相当の減税を受けることができます。
簡単に言うと、年末調整で返ってくるお金が増えるということです。
但し、注意点は自分の納める所得税が上限になります。
すごくザックリですが、年末残高が3000万円の場合、30万円の減税枠がありますが、源泉徴収が25万なら低い方の25万円が、減税の対象ということになります。
従って、「繰り上げ返済をする事による金利に払いの減少額」と「減税枠の減少」を比べる事になります。
生命保険
一般の住宅ローンは生命保険が付保されています。
フラット35は、生命保険料が住宅ローンとは別払いになりますが、
一般銀行の住宅ローンは返済金の金利に、生命保険代が入っています。
この生命保険がかなり安い設定なのです。
従って、繰り上げ返済をするという事は、生命保険の金額を減らしているという事になります。
掛け捨てで同じ金額の生命保険に加入した場合、その保険料と金利。どちらが高いのか?
これも大切な要素ですよね。
しっかり判定する必要があります。
もし、金利の方が安ければ、繰り上げ返済をする必要性が激減します。
その他
「返したお金は使えない」という点も忘れやすいので注意です。
住宅ローンの返済したお金は、二度と借りることはできません。
しかし、投資のお金は、基本的に使いたいと思った時に換金できます。
もちろん、投資の先によって流動性の違いはありますが、使うかもしれないお金は繰り上げ返済をするべきではありません。
結論
繰り上げ返済は、負けない投資に似ています。
繰り上げ返済の中でも、効果が大きい「期間短縮型」であれば、少なくとも損はしません。
この期間短縮型は、ローン残高がたくさんあればあるほど、効果も大きくなります。
というもの、元利均等払いの場合、1回目の返済と300回目の返済額は期間中金利が変わらなければ同じですが、その中身は全く違います。
1回目の返済は、利息の割合が多く、元金の割合が少なくなっています。
300回目の返済は、利息の割合が少なく、元金の割合が多くなっています。
ですから、繰上げ返済が得か、投資が得か?というジャッジは、その繰上げ返済が何回目なのか?が分からないと判断ができない。という事になります。
長々書いてきてそれかよ!というツッコミが入りそうな気がしますが、このような思考の方向性をもって検討していただくと失敗が少ないように思えます。
ちなみに私は、自宅の返済が公庫と銀行ですので、公庫を3カ月に一度繰上げ返済できるように組み立て、余ったお金を投資に回しています。
投資は、複利効果が生まれるようにすると爆発的に利益が増えますからね。